有機栽培農家・土井弘一さん 南幌町

40年間無農薬栽培を続ける有機農家の匠

先日、北海道南幌町で有機栽培を40年以上も続けているJAS有機農家の土井さん宅にお邪魔してきました。
実は、土井さんのお米の「米ぬか」を有効利用できないかとある製品を作る計画を立て、今回、提供してもらった米ぬかを使った製品見本が出来上がり、お届けするためにお伺いしました。

すでに田植えも終わり、ひと段落されているのかと思いきや、やはり殺虫剤や除草剤を使わない有機農法、雑草などの処理に忙しそう、そのような中、お時間を取っていただきました。

土井さんからは、全国的なアレルギー患者の問題、大規模農場による農薬使用の実態など、勉強会やセミナーに参加したときの内容など、日本の農業政策やアレルギー患者の増加傾向など、最新の情報をいろいろ教えていただきました。
本当に勉強になります!

全国的にアレルギー患者数が激増中

アレルギー学会にも参加している土井さんの話によると、全国的にアレルギー患者さんは増加しており、重度のアレルギー患者さんの割合も高くなってきているそうです。
アレルギーの原因はさまざまありますが、その中でも農薬類、遺伝子組み換え食品なども原因になっているとのことで、アレルギー学会でも問題視されているようです。

無農薬栽培の継続年数で違いが出る

土井さんの無農薬栽培歴は40年、土壌が完全にクリーンな土壌であり、有機農法による微生物なども豊富な土壌に育成されています。
有機農産物の生産基準では、堆肥等による土作りを行い、播種・植付け前2年以上及び栽培中に(多年生作物の場合は収穫前3年以上)、原則として化学的肥料及び農薬は使用しないこと・ 遺伝子組換え種苗は使用しないこと。
となるのですが、10年以上無農薬栽培を継続しても土壌に残留農薬が残るケースもあり、JAS有機農産物としての認証は大変な努力の継続が必要になるそうです。

さて、土井さんの無農薬栽培米「ゆきひかり」はアレルギー患者さんの食事療法に取り入れられ、普通のお米が食べられない重度のアレルギー患者さんを始め、アレルギーの体質改善を目的に、お医者さんの指導の下使用されているのですが、同じJAS有機栽培の「ゆきひかり」でも土井さん以外のお米だとアレルギー症状が改善しないケースもあるようで、40年もの月日をかけて育成してきた無農薬の土壌で育った土井さんのお米は、病気の改善率が特別高い結果を出しているそうです。そのため、アレルギー患者さんを始め、さまざまな病気の食事療法にも取り入れられて始めています。

作付面積を2倍以上の増産体制へ

食事療法の成果が上がっていることから、土井さんの「ゆきひかり」の需要が今年から非常に高くなってきました。
これには、地産の匠も貢献しているそうで、地産の匠amazon店で土井さんの「ゆきひかり」を見つけて、取扱いの申し出が増えているとご報告いただきました。そのため、令和元年産の「ゆきひかり」が5月に売り切れてしまう事態になり、この「ゆきひかり」しか受け付けない患者さんもいることから、2年産より作付面積を2倍以上に増やし、欠品しないように対策を取ることになりました。

地産の匠としても、アレルギーの方がお買い求めされているお米なので、1年を通して安定的にお客様へお届けしできることが重要で、2倍以上の生産量はありがたいところです。

安心、安全、信頼できる食品の価値

それこそ、40年前に無農薬栽培を実施する、というのは、特殊なことで、農協などの指導では、農薬を使った効率的な農業を推進するという流れでしたから、当時、土井さんも特異な目で見られていたそうで、(結構つらい思いをされたそうです)当然、農協への出荷をしていたら生産コストに合わない価格になってしまいますから、ご自身で販売先を開拓し、全国のお客様にお米の発送などしながら、地道な販売を継続されてこられました。
地産の匠とは2012年からお付き合いをさせていただいておりますが、特別な北海道のお米ということで、付加価値のある商品を販売したいというコンセプトで始めたECサイトが地産の匠ですから、なんとか販売量を増やしたいと取り組んできたお米が、欠品するほど需要が高くなったというのは取扱いしているショップとしてもうれしい限りです。

土井さんも、アレルギー患者さんからの喜びの声が多数寄せられるがうれしく、やる気を漲らせていました。

さて、農業政策として、今は大規模農場化が進められています。
これは、農業の効率化を図ることが目的ということなのでしょうが、当然、広範囲に農薬を使用することで成立する農業です。
アレルギー患者の増加に農薬の使用が問題視されている中、40年の筋金入り有機農家、土井さんの無農薬栽培、JAS有機農産物の価値はこれから、どんどん高まっていくことが予想されます。
安心、安全、信頼できる食品がどんどん価値を高めていくことは間違いない事でしょう。